「美依と………水橋、だっけ? 授業中に、しかもこんなとこで何してんの?」


振り返らなくても誰だか分かるこの声。


だけどこの声の持ち主はいつもからは想像出来ないほどの冷たさが含まれている。


こんな状態の時に裟菟に見つかるなんて…運がなさすぎる。


弁解してもいいのだがここで弁解したとしても言い訳にしか聞こえないだろう。


スッと依智から離れ、立ち上がり裟菟の方へ向いた。




「何って…君には関係ないことだろう? 君達が付き合ってるっていうなら話は別だけど」


言葉にトゲを含ませてそう言ったのは依智。


たしかにあたしと裟菟は付き合ってない。


幼なじみ、というほうが正しいだろう。


「たしかにそうだけど…水橋には分かってんだろ? だから聞いてるワケ」


裟菟のその言葉にあたしと依智が顔をしかめた。


ただ顔をしかめた理由は違うが。


あたしは依智が理由を分かっていることに疑問を持ち顔をしかめたが…。


依智は厄介だと思い顔をしかめただなんてあたしが知るよしもなかった。


相変わらず、冷たい空気がこの空間を包んでいる。





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