一方、始業式を完璧に忘れていた美依は………


「やっぱ裏庭が落ち着くー…」


裏庭の木陰に座り込んでいた。


んー…と伸びをしながら空を見上げると朝にはなかった雲がかかっていた。


………?


疑問を感じたのと同時に背中に悪寒が走った。


ブルッと震えて自分を包み込むように両腕を擦った。


何か…嫌な予感?


その予感は後々当たるのだった。




暖かい陽射しに心地好い風でウトウトしていたとき…


「ぅにゃ!!!!!!」


誰かに勢いよく抱き着かれ、猫みたいな声が出た。


元から突然のことにはこんな声を出していたので気にする者がいないことが救いだ。


目を開けると…


サラサラストレートの栗色の髪に香水じゃないシャンプーの香り、そして頬に感じる違和感。


こんなことをするのは一人しかいない。


「ちょっ…佑祢(ゆね)?」


佑祢とはあたしの小学生の頃からの親友。


抱き着くのが大好きであたしの頬に必ず一日一回はキスをする。


だから頬に感じる違和感は佑祢がキスをしているんだと分かる。


軽くリップオンがしてあたしの頬から離れた。





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