あたし、悲しいんですけど。


ハァ…と軽くため息をついて再度起こす体制に入った。


「依智、起きて!! いい加減起きなきゃ遅刻…キャッ!!」


再び依智の体を揺らしながら言えば腰に回されていた腕に力が入って依智の胸にダイブした。


そして何故か腰だけでなく、後頭部にも回されている腕。


………。




「な…にゃんでぇえ!?」


…噛んだ。


何でぇえ!?のハズがにゃんでぇえ!?になっちゃったよ。


「クックッ………」


羞恥で顔を赤くしていると頭上で聞こえた笑いを押し殺しているような声。


は…恥ずかしー………。


顔を見られたくなくて依智の胸に埋めた。


頭に回された腕が離れ、頭を撫でられた。


ぅにゃー…気持ちいー………。


「んぅ………もっとぉ…」


依智の胸に頭をスリスリしながらそう言った。


「クックッ………本当に猫みたいだな? いつもこんな風に素直だったら可愛いのに…」


そんな言いようも気にならないほど依智の撫でる手つきは優しくて気持ちよかった。




この時あたしはすっかり忘れていた。


学校に行くために依智を起こしたのを…。





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