プゥーっと頬を膨らますとニヤリと妖しい笑顔を見せた依智。


あ…なんか身の危険を感じるのですが気のせいでしょうか?


てか気のせいであってほしいんですが………。


一歩ずつ後ずされば一歩ずつ近づいて来る依智。


しかも歩幅が違うのでむしろ依智との距離は縮まっている。


離れようと後ずさっているのにこれでは意味がない。




足が何かにぶつかり後ずされなくなったので振り返ってみれば壁。


とうとう壁際まで追い詰められてしまっていた。


横に逃げようとすればあたしの体を囲うように両手をついたので動くこともできなくなった。


美依ちゃん、ピーンチ!!


ってんな悠長なことを言ってる場合じゃないよ、あたし!!




「あれ、携帯返して欲しいんじゃなかったっけ?」


なんて爽やかな偽物笑顔を見せながら言う依智。


その爽やかさが胡散臭い。


てか本当の依智を知ったからそう思うんだろうな、多分。


いや、多分じゃなくて絶対か…。


なんて考えた。


確かに返して欲しいけどさ…何か要求されそうなんだよね。





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