顔を上げることが出来ず、下に向けたまま聞いていた。


「ん…そうなんだよ。 ごめんね? ちゃんと伝えておくから…うん、それじゃ」


いやに短い会話だな…と思いながらも耳を傾けているとさっきの会話で電話は終わったらしく虚しい機械音のみが聞こえた。


てかなぜにあの口調?


あの口調って学校の時の口調だったよな。


てか学校関係者の前ではあんな感じだ、そういえば。


そんなことを思いながら顔を上げた。


その時あたしはすっかり忘れていた。


自分の携帯の電話が鳴っていて、


携帯が行方不明になっていたっていうことを………。




「………ぁあ!! あたしの携帯!?!?!?」


依智が手にしていたのは依智自身の携帯ではなくあたしの携帯。


どうやらあたしの電話に依智が出ていたらしい。


てかあの電話…誰からだったんだろう?


人によっては…誤解を招きかねないから厄介だ。


「あたしの携帯、返してー」


高い位置にあるので必死に手を伸ばしてみたが更に高い位置に上げられたので全然届かない。


元々身長差があるのにこれでは意味がない。





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