あー………なんか一人ボケツッコミ(一人漫才)疲れた。


観客とかもいないから盛り上がろうにも盛り上がれないし…。


ってあたし、そんなことを考えれる余裕なんてあったのね。


その事実に驚く。




だからなのか分からないが。


近づいてきていた依智に全然気づかなかったんだ。


「美ー依?」


突然耳元で聞こえた声にビクッと身体を震わす。


低くて心地好い声であたしの名前を呼ぶなんてズルい。


キッと睨むように依智に視線を向けるがさっきのことで瞳には涙が滲んでおり、上に依智が跨がっているので必然的に上目遣いになってしまう。


………無駄なことをしたな。


そう気づいたのはした後だった。




「美依…誘ってんだろ?」


射抜くような瞳に捕われ、何も言えなくなる。


勿論あたしに誘ってるつもりなんて微塵もない。


だけどあたしが押し黙ったのが肯定ととったのか…


また首筋を舐められた。


「ふにゃぁっ」


よく分からない声とビクッと小さく跳ね上がって反応した身体。


それに満足したのか妖しい笑みを浮かべる依智。





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