呆れてため息をつこうと口を開いたとき、後ろから感じる視線。


…や、今依智の方に向いてるんだから後ろからの視線は匙月だって分かってるんだけど分かっててもこの視線が何を表してるのかが分かんないから安易にため息すらもつけないんですが。


くるっと首だけ半回転させて匙月に顔を向けた。


「何、匙月?」


そう問えば返ってきた答えは予想外以外の何物でもなかった。




「オレも美依の血、欲しい」


満面の笑顔でそう言ってのけたのだ。


その答えにピシッと石のように固まってしまうあたし。


まさかのまさか…だ。


どうやら匙月のあの言葉は聞き間違いではなかったようだ。


ということは………?


「もしかしなくても…もしかしなくても、匙月も依智と一緒…?」


多分、強張っているであろう笑顔を顔に貼付けて恐る恐るそう聞いた。


「そ。 オレと依智は一緒」


語尾に☆マークがつくんじゃないのかってくらいのテンションで爆弾発言した匙月。




嗚呼…お父さん、お母さん。


あたしは今日二人目のヴァンパイアに出会いました。


平穏は訪れるのでしょうか…?





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