「聡は俗に言う天才だよ」


誇らしげに僚先輩が言う。


「あいつは勉強もできるし
部活…剣道部でもエース、
ご存知の通り副会長だしな」
「…なんか将みたい」


思わず口に出していた。

すると、先輩がキっと見た。


「将?相田将のことか?」
「そ、そうですけど」
「聡はそいつに手を焼いているらしい」


困った奴もいるものだよ、
と先輩はため息をつくと
大きく首を横に振った。


「何でも女がいるとか…」
「…!! どんな子ですか?」


何かに気づいちゃった智子は
ニヤニヤしながら聞いた。


「髪は?」
「…ショートだったか?」
「眼鏡は?」
「確か掛けてるとかなんとか」
「身長」
「小さめ。150くらい」


智子はうれしそうに、
わたしの背中をバンバン叩いた。


「先輩!!この子です」
「へ?」
「相田くんの女!!」
「…瑞季くん?……ああ!!」