今日は、一日勉強していられる気分ではなかったのです。



渚ちゃんの告白がショックだったと言うのもありますが・・・。


高等部に進級したのに変わらない、あるいは



嫌な風に変わってしまったクラスメイトの中に長くいることが出来なかったのです。



ホームルームが終わり、休み時間、一人で机に座って休憩して居た時にも、


「さくら様はどなたと婚約されるの?」



彼女たちは人の心に土足で踏み込んでくるのです。




いま、私はそのことで心がばらばらになる思いを抱えているのに。



「さあ。
どうでしょうね、くわしいことは分からないので」


濁すように言葉をつむがなければなりませんでした。



本当は知っているのに。



私は、もう嫁ぐのですよ。



恋焦がれ、慕う菖蒲さん以外の、



知りもしない、男のところへ。