これから生まれる新しい命。
想像できなくてなんだかくすぐったい。
でも一つだけわかること。
生まれて来る子はきっと、
女の子だ。
あの人に似て美しく育つのだろう。
離婚して、母がいなかった俺にとって母の様な存在だった彼女。
妹が出来るように嬉しい。
そう思っていた。
小さい頃の俺は心が欠けていて回りの使用人には冷たいと言われ、
父親には、子供らしくなくて気持ち悪いとなじられた。
それに追い撃ちをかけるかのように、家に後妻が入った。
家の居場所がもうなくなってしまったように感じていた。
悲しいという気持ちよりも、
心に空いたあなが埋まらない。
淋しい?
わからない・・・。
多分これを『虚しい』とよぶんだ。


