『幼い少女』と言うイメージが強かった彼女はもう16になる。
隣家の桜。
あの子の名前は俺がつけた。
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今は亡き彼女の実母は、儚い人だった。
ミステリアスと言えば簡単だったが、その一言では表せない奥ゆかしさがある女性だった。
いつも、ふわりとした笑みを零していたあの人の世界が好きで、あの人に子供が出来たと知って言葉に出来ない嬉しささえ感じた。
どんな子が生まれるかな?
そんな思い。
彼女の部屋に通いつめていつのまにか友達になっていた時、あることを頼まれた。
「この子の名前、考えてくれない?」
「え!?
僕が?
そんな、難しいよ」
「大丈夫!
あやめくんが名付け親ならきっといい子が生まれると思うの」
と何度断っても押し付けられた。


