「か、…かえ……、」






――バタン




微かに、ドアが閉まる音がした。

親父たちだ。



音が聞こえた途端、びっくりして動揺する桃。


名前を呼んでもらえなかったのは惜しいけど、ま、これから時間はあるんだ。

また今度言わせよう。


心の中でそう決めると、制服の、第3ボタンくらいまで開いたシャツをあたふたしながら閉めようとする桃の手を握った。