甘い夜の、願い事。


桃の部屋で教えることになった。

小さな机を出して俺は桃の隣に座る。



女の部屋なんて、いくらでも入ったつもりだったけど、桃の部屋は何故か緊張した。


「こうなって…こうで、だからχは……。」


俺の話を真剣に聞く桃は可愛くて、つい頬が緩んだけど鈍感な桃は気付いてない。



「あー!そっか!ありがと、お兄ちゃん。これで数学のテストばっちりだよー。」

ニコニコ笑う桃。


でも気付いてしまった。

桃の右手の薬指にはめてる指輪を。