「これからど――っすかなぁ」

俺の名前は秋月光(あきづき こう)、二十四歳。
苦労して大学まで行き、この不況と呼ばれる時代での就職活動を乗り越え、なんとか商社の営業として内定をもらい就職したものの、その二年後に会社が倒産。
明日からは晴れて?『無職』の仲間入りだ。

特にやりたいこともなく、なんとなくなった社会人。
日々の生活の中でこれでいいのかと疑問も抱きつつも、メシをくってくためには嫌でも働くしかなかった。

世界に何億といる人口の中で本当に自分がやりたいことで、成功し金を稼いでいる奴は何人くらいいるんだろうか。
少なくとも、俺はそいつらの一員でないことは確かだ。



『将来の夢』……か。



そんなもん、いつの間にか忘れちまってたなぁ。

あてもなく俺は東京・新宿の繁華街を歩いていた。