「はぁ〜…格好良い〜っ」
「やだっ!今、絶対、結杞くんと目合った〜!」
女の子達がみんな女の子になって、
甘い視線を色んな方向へ送っている…
「お待たせいたしました」
置かれるケーキ等には目もくれず、その視線はひたすら店員の美しい顔へと注がれる。
店員がそっと微笑むと彼女達の顔は薔薇のように真っ赤に染まってゆく
そんな店内は心地の良いクラシック音楽とスイーツの甘い薫り、ティーの安らぐ薫りのコントラストで充満している。
決して、混んだりはしていない…
お客さんはある程度の常連さんで席は埋められ、
そんな良い条件下で働いているのは美しい青年ばかり。
ホストクラブの様な其処は喫茶店。
都市部から少し外れた所にある、滑り台しかない小さな公園を通り抜けたそこに、喫茶店「アンテチュ−ル」はある。
常連さん達はみんな彼等目当てで飽きずに通っているのだった…
「おーいっ、匡宗ー。帰るぞー」
「あぁ、今行く。」
アンテチュールで厨房を担当している阿良々木由亮と、接客の町神匡宗は身支度をして帰ろうとしていた。