「大丈夫か? 秋谷。」



 心配そうに私の顔色をうかがうカレ。


 無口で、滅多に笑わない人。



 あんまり仲良くなれそうにも、好きにもなれそうになかった。


 そんな人に見えていた。


 木下 隼人 。



 でも、今は…私の顔を心配そうにのぞいてくる不器用な優しい人に見える。
 


 涙の出ている私を見る目が少し焦っている。



 なぜかわかっちゃう。



 私、この人のことが好きなんだ…。



 恋?




 初めて…。 カナ…?




 いつの間にか抱っこされていたのをおろされて、先にすたすたと歩いている木下君。



 なんだか二ヤけちゃう。



 たぶん変な顔をしてた私。


 一瞬こっちを向いて驚いた顔をしてまたすたすたと歩いて行った木下君。



 みっ、見られた…。