「おい…大丈夫かよ…?」

 志築君が通り過ぎた直後後ろから声をかけられた。


「はい?」


 重たい荷物を持ちながらゆっくりと振り返るとそこには眉を寄せてじいっと私を見る千隼の姿。

「あれ!? 千隼? …幻覚かな…?」

「幻覚じゃねーぞ?」

「店長、誰ッスか? 顔はいいけど性格悪そうな奴…。」


 幻覚じゃないらしい千隼を悪そうに見る志築君。

「何こいつ…新人?」

「えっ、あ…うん。」


 ちょっ、荷物重たいから早く運びたいんだけどなぁ…。

「おい新人。 こんな重たい荷物…女に持たせるもんじゃねーだろ?」


 千隼が軽くキレた。

 なんでもいいから早く運ばして…。

 ふらつく体、重たい頭、朝からの吐き気に襲われている私は限界…。


「店長こいつなんですか? こんなこと言われる筋合いはねぇっつの…店長?」


「おいっ、ひなみ!!??」


 荷物を下に落として途絶えた意識。


 桜ちゃんと樹里菜ちゃんが駆け寄ってきた声も聞こえた。


 目をあげると本屋の事務所の天井が見える。


「…あ…れ…?」

「目ぇ…覚めた?」

 視界の前に現れた千隼。