寮に着いた私たちは、木下君に鍵を渡して部屋まで送ってもらった。


「氷枕ある?」

「うん。」


 いつもしゃべってる私より、木下君のほうが口数が多い。



「熱測って」

 そう言って体温計を渡された。




 ――ピピピっ

「39度…!?」

 
 体温計に表示されている数字を読み上げてびっくりした。



 そんなにあったんだ。



「病院行くか?」

「…大丈夫でしょ…。」


「…留守電入ってる。」


 ふいっと、電話のほうを見るとチカチカ光ってる。


 
 木下君がボタンを押してくれた。


「ひなみちゃん…」

 おじさんの声がベッドに寝てる私にもとどいた。


「本当テストの時期にごめんだけど、おじさん今日ちょっと寮に戻れなくなって…夕飯とか任せていいかな? ていうかお願い!!」


 
 そう言って切れた。


 時計をみると、そろそろ夕食の時間。


「ご飯作らないと…。」



 ベッドから体を起して立ち上がろうとした。


「それはダメ。」


 木下君からストップ。