不器用男子

 近くを歩いていた知らないギャルに話しかけた。


「木下千隼ってどこのクラス!?」

「はぁ? なんであんたに千隼様のクラス言わなきゃなんないのよ!!」


 千隼のファンか……様って…。


「お願い!! 教えて!!」

「部外者には教えられないしっ!! てか、千隼様のなに!?」


 面倒!!


 時間ないのにっ……。


 千隼と桜ちゃん…何もしてないよね?


 こんなに急がなくても大丈夫?


「千隼の彼女!! 早く教えて!!」

「何いってんの? 千隼様の彼女って奴が千隼様と一緒にいたけど? 嘘ついてんじゃないわよ!?」


「嘘じゃない!! その人が嘘なの!!」


 どれだけ言っても無駄みたい。


 どうしよう…ずいぶん大きい大学だし…片っ端から探すのには時間がかかりすぎる。


 …電話しよう!!


 ポケットからケータイを探り出して千隼に電話をかけた。


 …でない……。


 何回コールをしても出ない千隼。