そうだよね。

 婚約指輪だって決してロマンチックじゃないけど涙が出るほどうれしい渡し方をしてくれたもの。


「…そうかい…じゃぁ…桜ちゃんはどうする?」

「もともと結婚する気なんてないから」


 話が読めない…。


 桜ちゃんって千隼の婚約者の人?


「あなた!! あまり2人をいじめないであげてくださいよ!!」


 大人っぽい女の人の声がリビングに響いた。


「おぉ~、すまんすまん!」

 千隼のお父さんはにこっと笑って私たちを見た。


「2人が結婚する気なら私たち二人は構わないわよ?」


 こっちにゆっくり歩いてくる美人の女の人。


「母さん」

 お母さん!?


 きれいな人……。


「ひなみさん、ごめんなさいね? この人いじめがいのある二人が来るぞって朝から張りきちゃってて…」


 いじめがいのある二人って私たち?


「すまんなぁ…桜ちゃんは私から丁寧にお断りしておくからな。」


 …よかった…お二人ともすごく優しい方だった。