「…そもそもなんで乗れないの?」

 こういうのが無理な人に一番聞いちゃいけないことかもしれないね?


 私の手をぎゅっとつかむ千隼の手は大きいのに観覧車は怖いなんて可愛い…。


「…揺れるだろ? 高層ビルとかジェットコースターとか平気なんだけど…ぐらぐらすると怖ぇ……。」



「そうなんだぁ…景色奇麗だよ? 遠くのほうなら大丈夫じゃない?」


 そう言って向こうに見える海をさす。


「…あぁ…」


 千隼は青い顔をしながらゆっくりと顔をあげた。


 そのまま海のほうを見るのかと思ったら、私の視線と絡み合った。


 少しずつ近づいてくる千隼の顔。



 ……キスされる?


 きゅっと目を瞑った。


 ゆっくりと触れる千隼の唇。


 少し、震えてる気がした。