「ひなみが乗りたいんなら乗ればいい。 今度はいつこういうところにくるかわかんねぇし。」


 ぼそぼそと話すその声は私にとって嬉しさの塊の声。



 千隼のこういうところが好き。


 ほかにもたくさんあるけど……声には出さないけど周りは人一倍見てるんだ。



「乗る? のらない? どっち」

「乗る!!!」

 片手を大きく上げて返事をした。


 千隼はクスッと笑うと私の右手を取って観覧車に向かって歩き出した。


 観覧車に乗り向かい合わせに座った。



「千隼、苦手なんでしょ? 大丈夫なの?」

 千隼の顔を覗き込むと顔は少し青い。


「……無理。 …隣行ってもいい?」

「ほぇっ!? ……いいよ!?」


 千隼からそんな言葉が出るとは思わなかったなぁ…。


 そんなに無理なら私も少しぐらい我慢するんだから…言ってよ。


 そう思いながら隣に座る千隼を見上げた。


 ビビってるのに私より上に顔があるのって変な感じ…。