その本は千隼が選んだ本。


 本屋としても聞き捨てならないセリフ。


 もちろん千隼は無視だけど、わたしは黙っていられない。


「あの!! そんな本とか言わないでください!! それとその席譲ってください!!」


 私の声は図書館に響いた。


 周りは一瞬静かになってまた騒ぎだした。


 千隼は何事かと顔をあげた。


「なんで? ここは私がとった席よ? この本だってあなたが書いたわけじゃないでしょ?」


「…あのさ、なんでもいいけど俺の上でもめんのやめろよ。 うっとうしい」

「あっ…ごめんね!? この人すぐに追い払うからっ!!」


 …は?


 私が追い払われるの?


 退散しなくちゃいけないのこの人じゃないの?


「あなた彼の邪魔なのよ。 さっさとほかの席探すか図書館でてってよ。」


 …邪魔?