最終的に、緋焔は一睡も出来ずに朝を迎えた。 重い頭に、溜め息をつきたくなる。 (なんで、こんなことに……) その時、モゾリと砂夜が起き上がった。 まだ寝ぼけているのか、 地べたに座ったまま動かない。 「……おい。 朝だぞ。起きろ」 緋焔がそう声をかけると、 ふらりと視線が合わさる。 そのまま、数十秒停止。 「……ああ。 お前か」 挙げ句、緋焔が言われた言葉はそれだった。