……それにしても。

『各自教室に戻れ』

そう言われても困ったものがある。
何故なら、今から総勢280人もの生徒が動き出すからだ。
もう少し何らかの配慮をしていただきたい。
私の足は、誰かに踏まれ汚れ果てていた。
周りから、『あーあ、かわいそうに・・・』
そんな視線が突き刺さる。
そんな中、やっとのことで、自分の教室に入り教室を見渡した。

ふと、担任の先生と目が合った。
一瞬、あの先生だったら……なんて甘い期待もあったけれど、そんな期待はむなしくも散っていってしまった。
いかにも、数学教師と言う感じの顔だった。