帰り際の昇降口でのこと。

「亜季先輩!!」

「げっ。若原陸」
げっ。はないッスよ~、と返された。
「あんた部活はー??この時間ならテニスコートいるはず」


「・・・亜季、テスト期間だから」
と誠が言う。


・・・うそん。勉強してないから・・・。


「俺の友達、みんな反対方向なんス。亜季先輩、一緒に帰りましょ!」
若原陸は無邪気にわらった。
むぐぐぐ・・・。くやしいけど、か、かわいい!

でもあたしは騙されないからね!

「なんでアンタと・・・」
「まあまあ、俺もいるから」
「けっ建吾!?」
ついでに俺も、と巻町もきた。
隣にいる誠が、なんでこんな大人数で・・・と溜息をついた。
そんなのあたしが聞きたい。



・・・その帰り道。
途中で巻町と誠がわかれて、建吾と若原陸とあたしの3人になった。

「ふーん。1年なのにもう若原陸はスタメン候補・・・??」
「亜季、テニスなんだからレギュラーって言って」
いや、あたしんち野球が好きだからなあ。
「・・・亜季先輩。前から思ってたんスけど・・・」
「何さ」


「どうして俺のこと、フルネームで呼ぶんスか・・・??」


・・・そういえばそうだな。
「なにか問題でもある??」
「なんか呼びずらくないッスか??」
いや、特にそれに難を感じたことない、と返すと若原陸はそっスか、と素っ気無い返事を返してきた。
建吾は溜息をついた。

あたしなんか変なこといいましたか??


「亜季・・・今、陸は亜季の事を亜季先輩って呼んでるよね」
今度は建吾がその話題についてふってきた。
「うん??それがどうしたの」