「……わっ」

小石に躓いて、思わず転びそうになったけど、何とか堪えた。



「佐伯諒から聞いてない?」

「ボール当ててごめん、ってのは聞いたけど?」

「それじゃなくて、」

と一旦区切って、茜はチラリと私を見やった。

「佐伯諒、凄い慌ててた」

「……え?」

「『千麻!!』なんて叫んでさ。しかもお姫様だっこして体育館とび出していったんだよ」

「……えええ!?!?」

何それ。

全然知らない。



「千麻って、佐伯諒と知り合いだったの?」

「全っ然。話したこと無いし」

「だよねぇ?」



不思議そうに首を傾げる。