「…陸が小さかった頃、両親が離婚してな、おふくろに引き取られたんだよ。ある日、ドライブに行った帰りに事故に合ってな、おふくろは陸を庇って他界したんだよ…。それで陸は親戚のお家に引き取られたんだが、そこの女が陸をいじって遊んで…。陸が女嫌いなのもそれが理由だ…。最初、陸に会った時は、無表情で目が死んでた。俺は陸を救ってやりたくなって、俺のお家に引き取った。陸、毎晩うなされるんだ。“母さん”ってな…陸は自分の事を今でも責め続けてる」
「そ…んな……」

あたしの目からたくさんの涙が溢れ出た
みんなはあたし達を見て悲しい顔をしてる
「陸…」
「俺を…許して……」

陸はずっと強く抱きしめてる…。
あたしは陸を抱いてる、片方の手で陸の頭を撫でた

「大丈夫。陸のせいじゃない。陸、とっても辛かったでしょ?1人で苦しんできて…よく頑張ったね。偉いよ陸。…お母さんは陸を庇って死んじゃったけど、それはお母さんが望んでやった事。だから陸は心配しないで、お母さんの分まで胸張って生きて。そうしれば、お母さんはとっても喜ぶよ…」

陸はあたしを強く強く抱きしめて、泣いた。
みんなはそれを暖かく見守った。

しばらくすると、陸が落ち着いてきた。
あたしも落ち着いてきた

祥があたしの後ろに回り、陸の顔を見る
「完全に寝てる」
「じゃ、行くか」
祐樹はあたしから陸をそっと受け取り、抱きかかえた。
涼があたしに手を差し伸べてくる

「…ありがと」
あたしは涼の手を取り、立ち上がった
みんなは暖かな目であたしと陸を見た。

みんなは、玄関に向かっていく。