「す、凄い・・・」

目の前にある光景は、まるでこの世にあるのかとでも言うような光景だった。

目の前には、青々と透き通った湖。
そして、洞窟の穴から漏れる太陽の光。
それが湖にあたって、キラキラ輝いてる。
そして、湖の上にはたくさんの蝶々達。

陸はあたしをゆっくり降ろした
「ね?綺麗でしょ」
陸の顔を見ると、いつもの可愛い顔では無く、目を伏せて、落ち着いた顔をしてた。

何処か……寂しげな顔。

「陸…。どうしたの?」
あたしが聞くと、陸は驚いた顔をした
「…何か…あったんでしょ?」
あたしは陸の顔を見ながら言った

―――ポタっ

陸の目から大粒の涙があふれ出した
そして、その場に泣き崩れた

あたしは陸を包むようにして抱きしめる
「陸。大丈夫だから。ね?
あたしがいるじゃん陸は1人じゃない。
1人で抱え込まないで?あたしに話して」
あたしは落ち着いた声で言った
陸は大粒の涙を零しながら、あたしをゆっくりと抱き返してきた
「俺…脅されてるんだ」

脅されてる?
「誰に?」
「…っ……あの女に…」
“あの女”…。
…陸を苦しめてきた女の事だろう。
「…陸。大丈夫、落ち着いて話して?」
陸はあたしの肩で静かに頷いた
「…昨日な?電話が…かかってきたんだ。
あの女からだった…。それで、電話の用件がっ…」

陸はあたしを強く抱きしめてきた