「お姉ちゃんっ!!!熱いっ!!」
男の子はあたしの額に手を当てて言った

あたしは頭を押さえながら、めまいと動機に耐えた。
「大丈夫っ!!お姉ちゃんっ!頑張ってっ!!」
男の子はあたしの携帯を使って、救急車を呼んだ

ドームの前に黒い車が止まった
「彩夏っ!!!」
祐樹があたしを優しく抱きよせた
「拓っ!!お茶と薬っ!!!」
「ハイっ!!!」
祐樹は受け取ると、素早く開けてあたしの口に注いだ
あたしはゆっくり飲み込む

大きく呼吸した

そして祐樹が薬を口に当てる
あたしはまた大きく息をする
そして、自分を落ち着かせる

「…熱い」
救急車のサイレンの音がする。
もう、聞きなれた音…。

あたしは祐樹の胸の中で、意識を飛ばした。



―――――やはり、病名は不明です。
―――何とかならないんでしょうか?
―――――我々も全力を尽くしています。
努力しても、出来ない事があるんです。
彩夏様の命は、もう半分をきってます。
―――ど…うして…?どうし…て彩夏がっ…。
―――――・・・。
―――彩夏を、助けてやって下さい!!
―――――出来る限りの事はします…。
―――信じて…ます。

あたしの前には、泣き崩れる祐樹と拓。
そして、申し訳なさそうな顔をしてる医者。

そして、あたしの手を握って寝てる男の子。