「……っい!…おい!達也!」 すっかり自分の世界に 入ってしまっていた俺は 櫂の怒鳴り声で引き戻された。 「あっうん…なに?」 「…はぁ……」 俺が気のない返事をすると 櫂は頭の後ろを掻きながら 大きなため息をついた。 それから、俺に向かって 呆れたように口を開いた。 「……お前な、自分を絶対責めんなよ?完全に玲奈ちゃんもお前も被害者なんだから」 …被害者? 俺が?…違うよ、櫂。 だけど、もう櫂に これ以上迷惑かけたくなくて とりあえず、 「…分かってる」 と だけ言っておいた。