自転車屋の前で偽千円札を握り締めて立っている。それを自転車屋のオヤジに差し出す。
「これで自転車が買えますか? ハァハァ」
「それじゃあ買えんよ」
「わかりました」
 私は潔く諦めて帰ろうとした。
「おいおい、ちょっと待ちなさい。中古ならなんとかなるかもしれんぞ」
「その中古の自転車をください」