ぼーっとしている渚を不審に思いながら声をかけた

 『おい。』

 「…」

 無視か?
 聞こえていないのか返事がなかった

 今度は聞こえるように怒鳴った

『おい!』

 「ふへっ!?…ってクリュウさん!?あれ…セナさんは?」

 セナさんかよ…

 『…セナさんなら船長のとこに行った』

 「あっそうなんですか…」

 少しの沈黙が流れた
 そんな沈黙に我慢ができず俺はつい思っていた事を渚に告げた

 「悪かったな」
 
 『え?』
 
 突然の謝罪に戸惑う渚
 
 まあ、当然の反応だよな

 『俺があの時行かなきゃこんな事になんなかった…』

 「クスクス…」

 そう言うと突然笑い出す渚
 
 『何で笑ってんだよ!』

 俺の謝罪を!!
 少し不機嫌になった事を察した渚が笑いながら口を開いた

 「すみません…でも、可笑しくって…」

 『何がだよ』

 「いえ…私てっきり嫌われてるんだと思ってたから…そんな事で悩んでた自分が可笑しくて」

 『変な奴』

 つい出てしまった言葉に一瞬顔を見合わせ二人で笑いあった

 こいつといると本当に飽きないな…そう思いながら船長のいる所に向かった