一晩、あたしは桜咲の家にいた。

懐かしい居心地。

けして長い間一緒にいたとか、そんなのは違う。

でも私が昔1度でも彼にあったような気がしてならなかった。


そう昔出会った初恋と呼べるか分からないほど小さな恋をした男の子に彼が似過ぎていた。

絶対悲しいくせに、

絶対辛いくせに、

絶対孤独なくせに。

それを否定する

小さな体。

“強がり”

その言葉がぴったりだろう。

でも、あの時の私は思った。

泣きながら、

弱さを見せない男の子が

逞タクマしいと。

自分にない心の強さを持った男の子に私は惹かれた。

君が1人なら私も1人。

でも君と私で2人だね。

私が側にいる。

そしたら、独りにはならないから。

少しで良い、今だけ私の居場所を君の隣りだと思わせて…