あの時の望おかしかったな。


誕生日プレゼントの事、内緒して私の事驚かせようとしてたのをばらされて。


「どうしたの綾?
何か面白いことあった?」


いつの間にか私は思い出し笑いをしていたようだ。


「あの時の事思い出してたの。」


あの時ってだけ言ったのに、望は何の事かわかってくれたようで、優しく背中を撫でてくれた。


「俺も思い出してたよ。」


私の耳元でささやく。


ここちいい声が耳の奥に届く。


電車から見える景色は、もうすぐ私が降りる駅の近くの景色。


駅に着ついてホームに下りれば、違う車両に乗っている一緒の中学から同じ高校に進学した、奈津美ときらりと舞と一緒に学校へ行く。


もうすぐ望とはお別れ。


部活が終われば、駅のパン屋でバイトしてる望にすぐ会えるのに、離れるのが淋しい。


こんなふうに思ってる私っておかしいのかな。


「もうすぐ駅だな。
夕方までの時間が淋しいよ。」


望、同じ気持ちだなんてうれしいよ。