「お金はいりません。」


「綾、なんてこと言うの。」

お母さんが止めにはいる。

お母さん、私決めてたの。


慰謝料はいらないって。


「その人のお金もらっても私うれしくないんです。
そのお金で何も欲しくありません。
見たくも触りたくもありません。
お母さん、私いらない。
その人からのお金なんて。」


「どうしますか?」


望のお父さんが両親に聞いた。


「そうですね、私としては慰謝料は当然だと思いますが、あまり取れそうにもないし、娘の気持ちを優先させたいと思います。」


お父さんありがとう、私の気持ちわかってくれて。


「そうですね。」


お母さんもうなずいてくれた。


ありがとうお母さん。


「わかりました。
ではそのようにします。
綾さん、何か希望はありますか?」


「もう二度と会いたくありません。
私の希望はそれだけです。」


「ではそのように手配します。
じゃあ、綾さん、欲しいものは望に買ってもうといいよ。
綾さんの誕生日プレゼント買うのに望バイトがんばるみたいだから。」


クスクス笑う望のお父さん。


「父さんなんで言うんだよ。」


望の大声が部屋に響いた。