告白[短編集]

「望?」


黙っている俺に、綾が心配そうに声をかける。


「綾、違うから。
俺こんな生活してないから。
たぶん、事務所で金持ちの依頼人にたまに使ってる車。
レンタカーだからこれ。
じーちゃんか母さんかな、こんな事するの。」


「う、うん。」


「綾ごめんな、びっくりした?」


「ううん、大丈夫。
びっくりはしたけどね。」


頭を少し傾けて答える。


綾、かわいい。


「たぶん、がんばった綾にゆったりしてほしくて、この車手配したと思うんだけど、びっくりするよなー。
明日遊びに来る予定だったのに、いきなり今日になってごめんな。」


「ううん、望のうちに一日早く行けるんだもん、うれしいよ。
ただ、触られて気持ち悪いから、お風呂はいりたかったな。」


お風呂か。


そうだよな、気持ち悪いよな。


気分悪い。


俺がいやだ。


誰も綾には触ってほしくない。