告白[短編集]

私は望と手をつなぎ歩いた。


両親の前で少し恥ずかしかったけれど、手のぬくもりで安心したかった。


歩きながら、痴漢を初めてしっかり見た。


警察官に捕まれ、下を向いて歩いていた。


普通。


普通だった。


普通の人、どこにでもいる、電車に乗ってるサラリーマンだった。


それが余計に怖かった。


繋いでいる手に力をこめる。


気づいた望が、さらにぐっと握りかえしてきた。


少し痛いぐらいに、望にしっかり握られた私の手。


心が暖かくなった。


「綾さん、ごめんね。
望にびっくりした?」


後から、望の父親に話し掛けられた。


「母親がね、男は強くなきゃだめだって。
望、小さな頃から格闘技全般無理矢理習わされて。
結局合気道があってたみたいなんだけど。
普段は、自分からは手を出さない望だけど、今回相当頭にきてたみたいだったから何かあるかなーとは思ってたんだけどね。」


「合気道?」


「そう、合気道。
綾さんはないかな?
いつの間にか、望の思う通りにされてた事。」