告白[短編集]

「では、事務所へ行きましょう。」


OL風の警察官に声をかけられ、移動しようとした時、痴漢が警察官を振りきり逃げ出した。


今、痴漢はホームにたおれている。


「いたたた、痛い、痛い。」

何が起こっているのか、よくわからない。


痴漢が逃げようとした時、望が私から離れ、痴漢の前に立ち手をつかんだ。


その瞬間、痴漢はたおれた。


私には、手をただつかんだようにしか見えなかった。

「いてーよ、いたたた。」


「逃げる気なら、骨折ろうか。
指と腕どっちがいい?
両方でもいいよ。」
それとも逃げられないようにするなら、やっぱり足かな?」


声を荒げるわけでもない、望のたんたんとした声。


「いてー、いてー。」


「望やめなさい。」


声のする後ろを振り返ると、そこには、一つ後の電車に乗っていた、望の父親と私の両親がいた。


「綾大丈夫?」


お母さんの心配そうな顔。

「私は大丈夫だよ。」


お母さんにそう答え、望をみれば、痴漢は警察官にわたされていた。


「事務所に向かいます。」


サラリーマン風の警察官に言われ、みんなで歩きだした。