告白[短編集]

「痴漢の罰金って安いのよ。
だから捕まえただけじゃあね。
痴漢にとって困るのは会社や家族、世間に知られること。
だから黙っててほしくて示談。
慰謝料、30万から50万って所。」


「くわしいですね?」


綾の母親の不思議顔。


母さん、なんでそんなに詳しいの?


「私も昔、痴漢にあった事があるの。」


びっくりした、そんな事があったなんて。


「だからね、綾ちゃん。
あなたの辛さよくわかるわ。
痴漢が捕まっても、記憶は一生ついて来る。
本当に嫌な記憶。
忘れたくても忘れられない。
でもね、負けないでね。
うちのバカ息子、今回ヘマしたけど、鍛え治すから。二度、電車で痴漢なんて会わせないから。」


「そんな、望は私の支えですから。」


綾、綾、綾。


胸が熱くなる。


俺もうこんなヘマしないからな。


「綾ちゃん、捕まえたい?」


「捕まえたいです。」


真っすぐ母さんを見る綾。