告白[短編集]

綾をベットに寝かして、リビングへ行く。


「どう?」


そこには、心配そうな綾の母親と俺の母親の他に、綾の父親までいた。


「今は落ち着いてます。」


「それで何があったんだ。」

父親の心配そうな顔。


俺は綾の聞いた通りを話した。


「なんてことだ。」


手を強くにぎりしめ、顔を歪ませる。


綾の母親は泣いていた。


「望、その話では、その痴漢は前から綾ちゃん狙ってたね。
気づかなかったのかい?」


「母さん、俺。」


「気づかなかったのかって聞いてんだ。」


母さんの大きな声。


「気づかなかった。」


ーバンー


言ったとたん、母さんから顔を叩かれた。


口の中に血の味が広がる。

「このバカ息子、なにやってんだ。」


本当だよ、母さん。


俺、なにやってんだよ。


「綾ちゃんに土下座してあやまれ。
どんだけ綾ちゃん傷ついたと思ってんだ。」


「いや、立川さん。
息子さんのせいではありません。
満員電車で誰が痴漢だなんて、わかりませんし。」


綾の父親がかばってくれた。


「さっきの話を考えると、今まで被害にあわなかったのは、息子さんがいたおかげです。」