告白[短編集]

綾の家に着くと、すぐ玄関から母さんが出てきて、タクシー代を払ってくれた。

中に入ると、綾の母親がリビングにいた。


「ごめんなさい、立川くん。
宿泊学習だって言うのに。」


「いいんですよ、田代さん。
いつでも呼び付けて下さい。
ほら、綾ちゃん部屋だってすぐいきな。」


俺は綾の母親に頭を下げ、綾の部屋に急ぐ。


部屋に入ると綾は寝ていた。


顔をのぞけば、目のまわりが赤い。


泣いたせいか。


じっと見てると、静かにまぶたが開いた。


俺がいたので、びっくりしていた。


帰ってきたことを伝えると、さらにびっくりしてる。

綾、目真っ赤だよ。


何があった?


「綾、どうした?」


俺は綾の背中に手をまわして、起き上がらせ、抱きしめる。


体が震えている。


何があったんだ?


「綾、卒業式の日、なんでも言おうっていったよな。」


出来るだけ優しく言う。


「何て言っていいかわからないの。」


泣き出した綾。


「ゆっくりでいいよ。」


そして綾は泣きながらポツリポツリと話し出した。