告白[短編集]

動けず、ただじっとしてる私。


痴漢のもう片方の手は前にまわり胸に来た。


お尻と胸をなでまわす手。

助けて、


助けて、


助けて、望。


「胸大きいね。
いつも一緒にいる彼氏にもんでもらってるの。」


言葉が荒い息とともに、私の耳に入る。


気持ち悪い。


気持ち悪い。


助けて、望。


助けて。


電車が駅に着き、ドアが開いた瞬間に、私は駆け出した。


怖い。


怖い。


怖い。


私は、追いかけて来るかもしれないという恐怖で、必死に走った。


駅前のタクシー乗り場のタクシーに飛び乗り、家の住所を言って、自分を抱きしめた。


震えが止まらない。


降りたのは、高校のある駅のひとつ前の駅だった。