告白[短編集]

舞の顔を見れば、ニコニコしてる。


うれしくてしかたないって感じ。


うれしいのか?


俺の気持ち知って、うれしいのか?


それって、つまり、えーと。


頭がうまく動かない。


突然、手を離された。


嫌だったのか?


と一瞬考えた俺に、舞が抱き着いて来る。


はっ?


なにこれ?


訳もわからず、舞の背中に手を置き、軽く抱きしめる。


えーと、なに?


考えろ、俺。


この流れって、もしかして舞も俺が好きとか?


いやいや、舞は平気で俺の服を着て、俺のベッドで寝るやつ。


抱き着かれたぐらいで、好かれてるなんて、安直に考えちゃダメだろ。


舞の髪から、甘い桃の香りが、鼻をくすぐる。


舞が寝た後、俺のベットに染み込むこの甘い桃の香り。


今までさんざん俺を苦しめ、翻弄した舞の香り。


舞は知らない、その残り香が俺の体を苦しめた事を。

考えなきゃならないのに、香りに脳みそがやられる。

俺の腕の中におさまる、舞の柔らかな体。


なんだか、もうなんでもよくなかってきた。


舞が、俺の腕の中にいるなら、なんでもかまわない。