ゴールを過ぎ、失速。



「…クソッ…」



結局、流人の影は消えなかった。



「お疲れ様」



その流人が微笑んで、拍手をしながら近寄る。



「君は陸上部のエースになるかもな」



疲労感が襲ってくる。



「冗談…」

「冗談じゃない。一日に全ての競技をこなし、その全てが平均以上の好成績。最後の100m走に至っては、現在のエースを脅かすタイムだ」

「そりゃ、どーも…」



膝に手をつく。



「君の競技は100m走でどうかな?」

「じゃ、それで」

「期待しているよ」