全力で駆けた。





駆けた。





全力で駆けた。





なのに。





流人に背中を見せ付けられる。





しかも、自分などよりも、はるかに美しいフォームだった。





先にゴールしたのは流人だった。





「さて…」

「もう一回!」



流人は片眉をあげた。



「何番勝負かは決めてないだろ!

もう一回だ!」



流人は不敵に笑った。





また、流人は背中を見せ付けた。





「もう一回!」





あれ…。

なにアツくなってんだ、俺…?





何度やっても、流人は背中を見せ付け続けた。