空はすっかり真っ暗で季節はとっくにクリスマス。

私は、1人、馴れない道を歩いていた。
2ヶ月前までは隣の大通りを大好きな彼氏と歩いていたのに。
その彼氏は今じゃもう元カレ。しかも元カレにはもう新しい彼女ができた。
それでも私は彼が好き。
だから大通りは歩けない。
誰だって好きな人が他の人と幸せそうに歩く姿見たくないよね?
たまたま見つけてしまったから裏道へ変えた。


「ほんと、最悪。」


小さく呟いた言葉すら白くなって消える。

どうしていまだに彼が好きなのかなんてわからない。

私は冷たい手をブレザーのポケットに突っ込んで、落ちてた空き缶を蹴った。
空き缶はコンッと音をたてて道の端の溝に落ちていった。


だんだん寒くなってきて背中を丸めながら歩く私の後ろから自転車のベルが聞こえた。
振り返ると、幼稚園からずっと一緒の幼なじみが自転車を押して走ってくるのがわかった。
そんな幼なじみを見て、私が気付かないフリをしたのは言うまでもない。


「お前はバカか〜こんな道通って。」

「っさいな〜ほっといてよ。」

「ほっとけねーけど、ほっといてやるよ。」


少しだけその言葉の意味を理解できないまま、隣を歩くそいつを見た。

身長高いじゃん。

意外と身長が高いそいつを見て、急にさみしくなった。
なんだか置いていかれてるみたいで。


「何見てんの〜?」

「別に、」


ほんとは少しだけ見とれてたなんて口が裂けても言わないけど。


「あ…雪」


そう言われて空を見上げると
白い雪がはらはら舞い降りてきた。


「悩んでばっかいないで、ちょっとは俺にも言えよな〜。別に男は沢山いるんだし?」


ん、と素っ気ない返事を返した。
そう言ったこいつの頬が赤くなったのと、
私の心臓が一瞬だけドキッてとびはねたのには、
気付かないふりをしておいた。






25日君の笑顔