俺が毎日この体育館に早めにくる理由。
それは――
今俺に手を掴まれて赤くなってるこの先輩。
俺がたまたま打っていた時。
気付かれてないとでも思っているのか、入り口の後ろに隠れて俺を見ていた先輩。
偶然かもしれない。
そう思って次の日もまた次の日も体育館にきてみると、
彼女は決まって同じ時間に同じ場所にくる。
俺は、気付かないフリを続けてきた。
影から見つめる彼女をこっそり横目で見ながら。
今日は何故だか少し遅れてきた。
と思ったら何故だかいつもより早く帰ろうとした。
さすがに気になった俺は気付いたら彼女の手を掴んでいたって訳。
「いや、あの……」
俺のいきなりの質問に戸惑う彼女。
困った顔もかわいいなんて思ってしまう俺は変態なのか!!??
「先輩、何で毎日ここにくるんですか?」
俺は、ドキドキうるさい心臓に気付かれないよう精一杯落ち着いて
1番知りたかったことを聞いた。
彼女の赤く染まる頬を見れば
理由はなんとなくわかってたけど。
「…それは、その…」
なかなか答えない彼女。
「先輩、好きです。俺と付き合ってくれませんか?」
しかたないから俺から言った。
彼女は今までにないぐらい
赤い、びっくりした顔で俺を見た後、
小さく頷いた。
見慣れた景色がいつもより
キラキラして見えた瞬間。
*
キラキラ