インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~

彼女も
なにかを感じ取ったみたい。



「このあたりは緩やかなカーブしかないし、交通量も少ないから、事故なんてめったに起きないんだけどね」



より雰囲気を出そうとしてるのか、おばちゃんは声を潜めるように話す。



「これは人づてに聞いた話なんだけどね、なんでもその夫婦は悪霊に取りつかれてたんだって……」



人懐っこい顔してるけど、
見方によっては、
それは人と安心させる道具にもなる。



「というのも、さんざん悪いことをしてたらしくて、その怨念が集まり合わさって、崖下に呼び寄せたらしいよ……」



駅前で声をかけたときの、
ぼーっとした
無防備で
呆けたかんじは
まったくない。



「とくに男のほう。崖から落ちて死んだんじゃなくて、怖いものを見てその恐怖のあまりショック死したんだってさ……」



彫りの深い顔に陰影ができて、
目が合っただけでも
ゾクッとするような緊張感を与える。