ファンデーションもマスカラも落ちるが心配ないから?



そうじゃない。



どこか思いつめたような、
はげしい思いが、
ひかりを凛とさせてるようだった。



「なんか勘違いしてませんか?わたしはただ旅行がてら、レイちゃんの故郷はどんなところかな~って…」



無理に
笑顔を作っているように思えた。



笑顔のマスク。



その下に隠された素顔を、
あたしはまだこのとき知らなかった………。



「それに、もうすぐ夏休みですし、思い出作りにちょうどいいかなぁって」



「部活に塾に忙しいんじゃ?」



ていぅか~、
人の顔を心配する前に
自分の心配をしろってね。



ちょ~
ひどそ~……



「さっ、もう家に帰りましょ~」



ひかりが
あたしの手を引っ張り立たせる。



「そうだけど、ちょっとどこかに寄り道したい気分なんだけど……」



「気持ちはわかりますけど、このまま帰ったほうがいいですよ」



「どうして?」